アプリプラットフォーム「MGRe」のこだわり 顧客体験の向上に繋がるUIUXとは

2020年6月、ランチェスターはMGReのサービス提供を開始しました。MGReは、これまで提供してきたEAPを大幅にアップデートしたアプリマーケティングプラットフォームです。MGReの魅力は、ランチェスターのこれまでの経験と知見が詰まったUI/UX。

過去に制作したウェブサイトやアプリを振り返りながら、MGReのUIUXについて取締役 CPO(Chief Product Officer)佐藤、プランナー篠田、UXデザイナー瀬尾の3名が語ります。

完全受託だった頃に得たもの

─ ランチェスターは、以前は完全受託で案件を請け負っていたんですよね?

佐藤 EAPをリリースする前は、完全受託でやっていました。

篠田 ANAのiPadアプリ、ハーレーダビッドソンのウェブサイト、ことりっぷや無印良品のアプリとか。

佐藤 懐かしい! 完全受託の頃、企業のニーズをヒアリングして気付いたのが、本当の課題は、実は別にあるということ。例えば、企業から「こういう改修をしたい」と要望があったとします。よく話を聞いて、そもそもなぜ改修するのか質問していくと、要望とは別のところを直したほうがよさそう……ということはよくありましたね。

篠田 アプリは出したいけど何をするか決まっていない、という企業からの相談も多かったですよね。

佐藤 そうですね。だから、その企業の周りの人から話を聞いたり、調べたりして、こちらから提案していましたね。

篠田 プロジェクトの決定権があるのはもちろん発注側の企業なんですが、我々が仕切ってしまうこともよくありましたね。プロジェクトをやり切るために必要なことや、リスクを想定してケアしなければいけない部分に対して、早め早めで動いていました。

佐藤 言われたことをそのままやってもお金にはなる。だけど、企業に寄り添って、アプリやサイトの主旨から考えていくと、要望とは違うことをしたほうがいいこともありますから。その方がやっぱり信頼してくれますよね。結果を残していくと、信頼に繋がるし認知もされる。

篠田 完全受託の頃に、しっかり企業に寄り添ってヒアリングを積み重ねたことが、今のサービスのUIUXにも活かされていると思います。

アプリ担当者、店舗の店員、お客さん、全ての人が使いやすいUIUX

─ その後、2017年にアプリプラットフォーム「EAP」をサービス提供されたわけですが、完全受託にはない、アプリプラットフォームの強みって何でしょうか。

篠田 プラットフォーム化してると、最初から安定したアプリをどの会社にも提供できます。そこが大きなメリットかな。完全受託でアプリを1から作ると、最初はバグが出やすかったり、アプリが動かなくなったり……運営しながらじゃないと、安定していかないんですよね。

瀬尾 管理機能もよくできてると思いました。

篠田 そうなんです。管理者の方には最初にさらっと教えるんですけど、その後は皆さんすぐに使えるようになります。使い方について問い合わせが来たことってほぼないですね。

佐藤 機能としても、完全受託の頃の経験が活かされています。様々な企業にアプリを提供して見えてきた、必要な機能が入っているんです。例えば、クーポンを年齢や性別で出し分けたり、お気に入り店舗のニュースが表示されるようになっていたり。最初から必要な機能が入っているから、企業側はアプリでどんな工夫をしたらいいか1から考えなくていい。

篠田 ランチェスターのこれまでの経験や知見が、UIUXに反映されていますよね。

─ アプリプラットフォームを提供するきっかけは何だったのですか?

佐藤 無印良品のアプリの成功が転機だったと思います。

2013年 スマートフォンアプリ「MUJI passport」の開発を支援

 

佐藤 当時はECの顧客と店舗の顧客の結び付けってできなかったんですよ。そんな時代に、オムニチャネルへの取り組みの成功事例としてメディアに取り上げられたし、問い合わせも多かったんです。

篠田 当時は画期的な事例でしたね。

佐藤 はい。それで、オムニチャネルのニーズがありそうだということで、アプリプラットフォームとしてビジネスにしたんです。

篠田 実際にニーズは高かったですよ。

瀬尾 なるほど。現場で特に重宝されていたEAPのUXって何だと思います?

篠田 ブログやSNSに投稿した内容をアプリに集約できる「クローラー」という機能ですかね。今までは、アプリの担当者がブログやSNSの内容をコピペして、アプリの管理画面からアプリ向けに投稿していたところが多いと思います。でも、EAPなら自動で更新できるので、その手間がいらない。

佐藤 アプリにかかる手間が減るから、アプリの担当者は他の業務と兼任している人も多いですよね。

篠田 企業側の本音としては、アプリの運用に手間をかけたくないと思います。作業から解放された分、本来やるべき仕事である顧客対応やコンテンツ制作にあてられるはずです。

佐藤 あとは、店内モードも評価が高いですよね。気付かれないことが多いけど(笑)。

篠田 普段はニュースが表示されて、店に入った時には会員証が出てくる機能ですね。さりげないから気付かれないけど、会員証がスムーズに出せるから、店舗のオペレーションに一役買ってるはず。アプリって店員さんの協力がないとダウンロードされないので、店舗にも配慮したアプリにしないといけない。

佐藤 そこは疎かにしてはいけないですよね。通信が悪くてアプリが起動しないところでも、会員証のバーコードは出るようにしています。

篠田 企業やアプリの担当者だけでなく、現場にもユーザーにも寄り添ったUIUXになっていると思います。

EAPから大幅にアップデートしたMGRe

篠田「顧客体験を向上させるための機能は、他社では難しいことでも、MGReでは当たり前にできるようにしたい」

─ EAPとMGReの大きな違いって何でしょうか。

佐藤 EAPの魅力は、企業が好きな機能をつけられて、自由度が高いこと。でもその分、企業ごとに違う状態になってしまうので、メンテナンスが大変だったんです。

篠田 その時の企業にとってベストな状態で納品しても、追加機能が使えないという課題がありました。

瀬尾 そこでMGReでは、SaaS化して、マルチテナント型を目指すことになったのですね。

佐藤 そうです。だからこそ、どこまでEAPの自由度を残すべきか、議論に時間をかけました。どの企業にも同じ機能、同じアップデートを適用できる状態で、自由度を担保できないかという話をしていたんですが……。

篠田 それは難しいという結論になったんですよね。

佐藤 はい。でも、ランチェスターがこれまでやってきたことを整理すると、企業が必要とする機能はほぼ同じになると気が付きました。企業ごとにECのシステムが異なるので、システム連携だけは、自由度を高くして合わせられるようにすればいい。

篠田 そうと決まってからは、目標に向かって作っていきました。プロダクトとしては新しいことに挑戦しているけれど、UIUXは基本に忠実に、丁寧に進めていきましたね。

佐藤 そうですね、AppleとGoogleのガイドラインに則ってMGReのUIを考えていきました。競合製品は、iPhoneをメインで作ってアンドロイドは作り込まれていなかったり、ECサイトをHTMLのままアプリで表示していたりすることが多いんです。

篠田 それだと、ユーザーによって読み込みがもたついたりしますから。MGReでは、HTMLを流用するのではなく、ネイティブのアプリを作っていきました。

─ なぜ、ガイドラインに則って、基本に忠実に作っていったのでしょうか。

篠田 ガイドラインに則って作ると、OSをアップデートしたときにもスムーズに動きますし、OSアップデートの影響を受けにくいです。それに、それぞれのOSで慣れ親しんだUIなら誰でも直感的に扱えるという利点があると思っています。

佐藤 本当の意味で「ちゃんと作る」ということですね。

篠田 はい、ちゃんと顧客体験の向上に繋がるUIUXになるようにしています。例えば、セール情報のプッシュ通知が届いたとき、タップしたらすぐに商品を表示するとか。単純なことのようですが、アプリの好きな画面を簡単に表示させるのって意外と難しいしやられていません。

佐藤 でも、そこをちゃんとやらないと顧客体験の向上につながらない。

篠田 そうなんです。あとは、ECサイトとシステム連携しているから、自動でログインできる。ユーザーの購買体験がスムーズになるので、実際にアプリを導入したことで売り上げがアップした企業もあります。企業やユーザーが求めていることを当たり前にできるようにすることは、MGReでこだわったことの一つですね。

佐藤 会員証を使ってポイントをためてもらうために、ポイントに応じて会員証画面が変わるなど、細かい工夫もしています。

篠田 管理画面も使いやすいものになっていますよね。

瀬尾 はい、MGReの管理画面をさらに使いやすくするためのプロジェクトを、今も進めています。使いやすさを追求することは終わりがないですし、常にやり続けると思います。

─ どんな風に進めているんですか?

瀬尾 CSチームやセールスチームなど、企業と向き合っているメンバーに話を聞いています。管理者は日々どういう流れで業務を行っているのか教えてもらいながら、客観的な事実を理解した上で改善を進めています。

佐藤 それは大事なことですね。

瀬尾 理者の業務の流れと管理画面の操作の流れが合致していないこともあるので、ズレを改善して、管理者にとって優れたUIにしていきたいと考えています。

アプリを通して、企業やブランドのファンを作る

瀬尾「MGReで発生する全ての顧客接点を、より良いものにしていきたい」

─ MGReはマーケティングの機能も充実しているそうですね。

佐藤 はい、MGReはマーケティングプラットフォームでもあります。施策を打って、分析して、改善に繋げるところまで、ワンストップでできるようにしました。

篠田 ユーザーの年齢、性別、会員ランクによって、コンテンツの出し分けができます。プッシュ通知をオフにしている人に対して「もう一度オンにするとこんないいことがありますよ」とお知らせを出すとか。アプリを起動したときに表示されるものを、ユーザーによって変えるとか。

佐藤 ある商品を買った人や、特定の会員ランクの人など、ターゲティングしてお知らせを出し分けできるようになっているんですよね。企業がユーザーについて理解してコンテンツを届けることができると、受け取った側は「私のためにメッセージが届いている」と感じられる。

篠田 はい、ユーザーはアプリを通して接客されているような体験ができます。そこから、企業やブランドのファンになっていくといいですね。

佐藤 そうですね。最終的には、LTVのアップに繋げたい。

瀬尾 「MGRe(巡り)」という名前の通り、アプリを起点にクライアントの持つ様々なデータを循環させて、よりよい顧客体験を生み出すことができるサービスを目指していきたいですね。そのために、企業とその先のユーザーを深く理解し、効果的なマーケティング施策が効果的に行えるようなUIUXを作っていきます。

佐藤 アプリに集まったデータを、顧客体験の向上に活かしていきたいですね。ユーザーが、企業やブランドのファンになるようなUIUXを、引き続き追求していきたいと思っています。

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