上海シェアサイクル事情
上海レポート第3弾はレンタル自転車の話です
上海だけではないんですが、いま中国で急速に普及しているのがレンタル自転車です。シェアサイクルって言ったほうが正しいですかね。バイクシェアリング? いや、もう何でもいいや。貸自転車です、ようするに。
上海にいると街中にあふれるほどそのサービスの自転車が止められていて(乗り捨てられていて)、実際に乗っている人にもよく遭遇しました。
日本ではドコモの子会社で社会実験的な取り組みをしてますが、こちらは電動アシスト自転車を使っていて、自転車を借りたり返したりする場所はポートと呼ばれる場所に限定されています。
僕も暖かい季節には月に数回利用しているんですが、借りたいところに自転車の在庫がなかったり、返す場所が限られていてその後にけっこう歩くハメになったりと若干不便さを感じています。特定のポートに偏ってしまった自転車をトラックに大量に積み込んで移動させている場面にも何度か遭遇しています。
中国で普及しているシェアサイクルは電動アシストタイプではないこともあって、置き場所に制限がありません。置いてある自転車をその場で借りて、好きなところまで乗っていって、適当なところに止めてしまいます。
↑の写真でもなんとなくわかるように、その使いようがあまりに自由奔放なので、自宅や店の前に大量に止められて「アイヤー! 邪魔アルヨ!」と怒った店主が自転車を放り投げるシーンにも何度か出くわしました。いや、それはウソです。はい。話を盛りました。すいません。まあでも、そういうことが起きても不思議じゃないくらい、自由にシェアサイクルを道ばたに放置していきます。
恐らく日本では放置自転車の問題を助長しまくるので、こんな仕組みは行政が絶対に許さないでしょう。ドコモのシェアサイクルが電動アシストになっているのは、置き場所を充電スポットとすることでその問題を回避する目的もあるんだろうと思います。
しかし、モラルの問題にあえて目をつぶれば、どこでも好きなところで降りて返せるというのは非常に便利です。実際、このシェアサイクルが普及したことで駅から会社までチョイ乗りしたりすることが多くなったと、上海をいろいろ案内してくれた張さんも言ってました。
これらのシェアサイクルの利用には例によってWeChat PayやAlipayにもあった本人確認と、利用料のデポジットが必要なんですが、実際の利用料は30分~1時間借りて0.5元~1元くらい(日本円だと10円とか15円とか)と格安です。毎日チョイ乗りしても全然平気でしょう。
見習うべきofoの割り切りモデル
このシェアサイクルが普及したのはこの2、3年の話で、mobikeというオレンジの自転車がその火付け役となったようです。しかし、このビジネスが流行るとみるやあっという間に後発サービスが参入してきて、僕が訪れたときには街には数社のシェアサイクルが町中にあふれていました。この勢いのすごさがいまの中国の実情をよく表していると思います。
この後発サービスの中で注目なのは黄色い自転車のofoです。街中で見かける頻度も高かったのですが、いたるところに大きな看板が出ていてPRにも力を入れており、なんとも勢いあるという感じがしてました。
張さんも最近使っているのはofoだったんですが、mobikeと比べてペダルが軽くて乗ってて楽だということを言ってました。
しかし写真をよく見るとmobikeや水色のXiaoming Bikeに比べて、ofoには少し気になるところがあります。
mobikeやXiaoming Bikeにはサドル下にけっこうゴツいカギがついてます。これは利用の管理を行うためにリモートで施錠・解錠ができるような仕組みになっているからですが、ofoのほうを見ると何やらシンプルなダイヤル式のカギしかついてません。
そう、これはほんとにタダのダイヤルキーなんです。
ofoは利用したい自転車の車体IDをアプリに入力すると、その自転車のダイヤルキーの番号が送られてくる仕組みです。すごい割り切り。
でも、この仕組みは結構よくできてます。
以下、僕の推測ですが
- 特定の車体のダイヤルキーの番号を覚えられたら勝手に使い放題になると思われるが、どうせその車体はそのうち誰かが使ってどこかに移動してしまうので気にしない
- 車体の予約とかもやりようがないけど、同じ車体の解錠キー問い合わせが来たときに一定時間ダイヤルキーを他の人に教えないという仕組みにすればまあいいでしょ的な感じ(実際にシステム的にどうなってるかはわかりません)
- 車体にGPSもついてないっぽいが、アプリで返却手続きをした場所がその自転車のある場所と割り切れば、おおよその位置は把握できるからOKってことにしよう
- もしその位置情報がズレてても、たまたまその位置不明な自転車を見つけた誰か1人が乗って返却すれば補正されるし、その1台がズレてるくらいで大勢に影響は無いから別にいいや
という感じに思い切った割り切りをすることで自転車本体のイニシャルコストも下げ、運用コストも下げることに成功しているのではないかと思います。
実際ofoのアプリを見せてもらうと、近くにある自転車の場所が表示されるんですが、現場に行ってみると見つからないってことも結構あるようでした。でもGPSだって街中ではビルの反射波とかで結構ズレるので、返却位置で把握するだけの仕組みにしたとしても実は大して変わらないといえるかもしれません。
ofoは後発として自転車の使い勝手(軽い)というユーザにとって一番重要な点はしっかり改善しつつ、システム的な仕様は思い切った割り切りを行うことでコストをおさえていて、サービスを作る会社として見習うべきことが多いように感じました。
※タイトル写真などにいらすとやさんの素材を使わせていただきました。
約3年半にわたり君臨したランチェスター最年長の座を譲り、今はただの猫・鉄道・Perfume好きな不惑おじさん。好きなスタバオーダーはクワットロベンティノーホイップソイホワイトモカ。
TAG
- Android
- AWS
- Bitrise
- CodePipeline
- Firebase
- HTML
- iOS
- IoT
- JavaScript
- KPI
- Linux
- Mac
- Memcached
- MGRe
- MGReのゆるガチエンジニアブログ
- MySQL
- PHP
- PICK UP
- PR
- Python
- Ruby
- Ruby on Rails
- SEO
- Swift
- TIPS
- UI/UX
- VirtualBox
- Wantedly
- Windows
- アクセス解析
- イベントレポート
- エンジニアブログ
- ガジェット
- カスタマーサクセス
- サーバ技術
- サービス
- セキュリティ
- セミナー・展示会
- テクノロジー
- デザイン
- プレスリリース
- マーケティング施策
- マネジメント
- ラボ
- リーンスタートアップ
- 企画
- 会社紹介
- 会社紹介資料
- 勉強会
- 実績紹介
- 拡張性
- 採用
- 日常
- 書籍紹介
- 歓迎会
- 社内イベント
- 社員インタビュー
- 社長ブログ
- 視察
- 開発環境